変えられるのは自分と未来だけ

「自分の人生は、自分でしか変えられない」

頭ではわかっていても、現実はどうでしょうか?
自分を変えたいと願いながら、つい他人や環境に期待してしまったり、
「こんな自分じゃダメだ」と、本を読んで答えを探したり――

でも、もし知識だけで変われるなら、本を読むだけでみんな変わっているはずです。
実際は、知識が逆に自己否定を強めてしまうことすらあるのです。


自己肯定本が自己否定を強めてしまう理由

たとえば、「自己肯定感を高める本」を読んでいるのに、
「なんで私はこんなふうに思えないんだろう」
「できてない私ってやっぱりダメなんだ」
と、逆に自分を責めてしまう…

それは、自己認知が追いついていないまま、自己受容に飛びつこうとしているから。

まず必要なのは、自分がどういう状態なのか、何を抱えているのかを知ること、見つめること、言葉にすることなんです。


ワークショップや本が「効かない」と感じる人へ

世の中にある自己啓発系のワークショップやセミナー。
雰囲気は明るく、前向きな言葉があふれています。

でも、参加者同士で「自分の本音を話せた」と実感している人は意外と少ないです。
なぜなら、認知のレベルが浅く、本当の自分に触れていないままだから

一見前向きに見えても、“自分の中の醜さや弱さ”を無視したままでは、それは「見ないようにしている」だけに過ぎません。


自分を知る覚悟

本当に自分を知ろうとすると、「見たくない部分」「知られたくない部分」も出てきます。

不安、怒り、妬み、劣等感、欲望――
でもそれを見つめることが、自己認知の第一歩なんです。

そして、それに取り組むかどうかは本人次第です。
避けている限り、何も変わりません。


等身大の自分になる

自分の中で形になっていない感情や感覚を、少しずつ言葉にしていく作業。

最初はうまく言えないかもしれません。
曖昧でも、まとまってなくてもいいのです。

それを地道に積み重ねていくことで、感情を客観視できるようになり、冷静に自分と向き合えるようになっていきます。

すると、
「もっと頑張らなきゃ」
「こんなんじゃダメだ」
という気持ちが、少しずつ静まってきます。

それは、等身大の自分を認めることができるようになるからです。


目的論という考え方

たとえば、「上司が嫌で仕事に行きたくない」という相談。

たしかに上司に問題があることもあるでしょう。
でも、上司がいなくなったらすべてが解決するでしょうか?

実は、「上司を理由にして、会社に行かなくても済むようにしている」という目的を持っていることもあります。

これが、アドラー心理学でいう目的論の視点です。


「外」に振り回されず、「内」に目を向ける

私たちはつい、外部環境や他人をどうにかしようとしがちです。

でも、他人を変えることはできません。
操作できるのは、自分の内側だけ。

「私は本当は何を望んでいるのか?」
「どんな欲求を隠しているのか?」
「この言動の奥にある、本音は何か?」

それを丁寧に見つけていくことで、本当に満足できる行動や、納得できる選択ができるようになります。


自分を起点にするということ

自分が悪い、という話ではありません。
でも、すべてを「相手のせい」にしていると、自分が変わるチャンスを失ってしまうのです。

「どうして私はこんなふうに反応したんだろう」
「本当はどうしてほしかったんだろう」

そうやって自分に目を向けていくと、今まで見えなかった世界が広がっていきます。


自分と向き合うことは、一人ひとり違う旅路

自分を知ることは、きれいごとではありません。
時にしんどくて、目を背けたくなるプロセスです。

でも、その先にあるのは、他人と比べなくていい自分、無理に大きく見せなくていい自分、等身大の自分を大切にできる生き方です。

私たちは、その旅路をそっと支える伴走者でありたいと願っています。