“がんばりすぎ”が招く身体のSOS

がんばることは、悪いことではありません。
誰かのために、何かのために、一生懸命でいたいと思うのは自然なことです。

でも、「がんばる」が無意識に「がんばりすぎ」になっているとき、
心は気づかなくても、身体が先に教えてくれることがあります。

「がんばりすぎ」が起こる背景

がんばりすぎてしまう人には、こんな共通点があることが多いです。

  • 迷惑をかけたくない
  • 甘えるのが苦手
  • 失敗してはいけないと思っている
  • 「ちゃんとしなきゃ」が口ぐせ
  • 期待に応えないと自分には価値がないと感じている

これらの思いは、多くが子どもの頃の環境や親との関係に根ざしています。
「もっと頑張れば愛されるかも」
「迷惑をかけたら嫌われてしまうかも」
そんな無意識の不安が、今もがんばりすぎる原因になっていることもあります。

がんばりすぎが続くと、身体はどうなる?

心では「まだ大丈夫」と思っていても、身体の方が先に限界を超えてしまいます。

たとえば:

  • 朝起きられない(身体がシャットダウンを始めている)
  • 食欲が落ちる/過食になる(自律神経の乱れ)
  • 呼吸が浅くなる、胸が苦しい(過度な緊張状態)
  • 不眠、途中で何度も目が覚める(心が休めていない)
  • 肌荒れや慢性的な便秘(ホルモンバランスの乱れ)
  • 何をしても疲れが取れない(交感神経優位のまま)

これらは、身体からの“静かなSOS”。
決して怠けているのではなく、これ以上がんばらせないようにしてくれているのです。

身体のSOSを受け取ったとき、どうしたらいい?

1. 「ちゃんとしなきゃ」をゆるめてみる

まずは、自分にこんなふうに声をかけてあげてください。

「今日くらい、ちゃんとできなくてもいいよ」
「誰にも甘えられなかったね。少し休んでいいよ」
「ここまでよく頑張ってきたね」

“がんばってきた自分”を否定するのではなく、やさしく労う
そこから、心も身体もほどけはじめます。

2. 小さな「やらない」を決めてみる

  • 家事を完璧にやらない
  • 返信をすぐ返さない
  • 苦手な人と距離を置く
  • 「NO」と言う練習をする

これは自分に主導権を取り戻すことでもあります。
「がんばらない選択」を少しずつ増やしてみましょう。

3. 身体の声を聞く時間をつくる

  • 5分だけでも目を閉じて深呼吸
  • 温かいお茶をゆっくり味わう
  • 外を歩いて太陽の光を浴びる
  • 疲れている日は湯船に浸かる

こんなささやかな習慣が、心と身体のつながりを取り戻す手助けになります。
がんばらなくても、整う力はもともと身体に備わっているからです。

「がんばらない」ことが、未来のがんばる力になる

「がんばらなきゃ」と思ってしまうのは、あなたがそれだけまっすぐで、やさしい人だからです。

でも、ずっとアクセルを踏み続けたままでは、どんなに強い車でも壊れてしまう。
ときにはブレーキを踏んだり、エンジンを止めて休むことも必要です。

がんばりすぎているとき、あなた自身が“自分の味方”でいてあげてください。