小さなチャレンジの積み重ね
「人は体験からしか学べない」──この言葉は、とても本質的だなと感じます。
どれだけ知識を集めても、本当の意味で腑に落ちるのは、自分でやってみたとき、つまり体験を通して感じたとき。
行動というと、大きなことをしなければいけないように思われがちですが、実はそんなことはありません。たとえ小さなことでも、自分にとって「初めてのこと」であれば、それは立派な体験です。
脳は新しい刺激にとても敏感です。これまでに体験したことのないことが起きると、大きく反応します。だから、人から見たら小さなことに思えても、自分にとって意味のあることなら、それで十分なのです。
今までやったことのないことを一つ体験するたびに、わたしたちは確実に、少しずつ前に進んでいます。

もちろん、慣れていないことは、最初からうまくいかないのが自然です。ですから、「下手なのが当たり前」という前提で取り組んでみると、少し気持ちが楽になるかもしれません。
ハードルを高く設定してしまうと、それに届かなかったすべてが「評価に値しないこと」になってしまいがちです。そうではなく、「やったことのないことにチャレンジできた自分」を素直に認めてあげることが、大切だと思います。
そのためには、まず「自分はまだ未熟なんだ」ということを、自分自身がしっかり理解しておく必要があります。「これができなきゃダメ」「ちゃんとやらなきゃダメ」と思っている間は、まだスタートラインに立てていないのかもしれません。

人は誰しも凸凹を持っています。完璧を目指したり一人で完結しようとするのではなく、「ヒトはポンコツである」と思っておくくらいがちょうど良いのです。そうすると、人から手を差し伸べてもらったときに、自然と感謝の気持ちが湧いてきます。「できない自分」を認めているからこそ、人の優しさに気づけるのです。
そして、自分という形を少しずつつくっていくために、体験を増やしていきましょう。「やってみて良かった」「ちょっといまいちだったな」と感じることを重ねていくことで、自分の中に判断の軸ができてきます。
迷うこともありますが、体験を通して少しずつ方向性が見えてきます。行動してみないと、やっぱりわからないものです。
だからこそ、小さなことでもいいので、自分にとっての“初めて”を、今日もひとつ、やってみてはいかがでしょうか。
