「過去」を成仏させるということ
人は誰しも、過去の出来事や、その時に感じた感情を「消す」ことはできません。悲しみ、怒り、悔しさ…それらは私たちの中に確かに残っています。
けれど、それを「過去」にすることはできます。
それは、思い出さなくなることでも、忘れることでもありません。その時の自分の気が晴れるかどうか。曇ったままでは、ずっと今の自分に影響を与え続けてしまいます。
私たちは時に、過去の感情に蓋をしてやり過ごそうとします。でも、本当の意味でそれが「成仏」するのは、自分の中で気が済んだ時。恨みごとやつらさも、本当は一度きちんと口に出す必要があるのです。
理想は、相手がそれを受け止めてくれ、「そうだったんだね」と認めてくれること。でも現実には、それが叶うとは限りません。だからこそ大事なのは、「わかってもらおう」と期待するのではなく、ただ「伝えに行く」という姿勢です。
誰かに届かなくても、自分の中では「言えた」という事実。それが癒しの一歩になります。
小さかった自分を救いに行く
過去の傷を癒すもう一つの方法は、「当時の自分に寄り添うこと」です。
「私が悪いわけじゃなかったんじゃん」
「すごくがんばってたね」
「本当はこうしてほしかったよね」
そうやって、小さな自分に声をかけていく。労わって、許してあげる。それが、心から過去を受け入れるということです。
誰かにしてほしかった言葉を、今の自分があげてください。それはとても静かで、でもとても大きな力になります。

「怒り」や「嫉妬」は、自分へのサイン
他人に対して湧き上がる怒りの多くは、実は自分自身に向けられていることが多いのです。
「自分がやってはいけないと思っていること」を誰かがしているとき、
「自分は許されなかったこと」が他人に許されているとき、
私たちは怒りや嫉妬を感じます。
でも、その「許せない」という感情の根っこには、幼いころ親や周囲から植え付けられた“ルール”があります。それが今でも自分を縛っているのです。
そのルール、本当に今の自分に必要でしょうか?
「大切にしたいこだわり」と、「ただの思い込み」は違います。
すべてを許す必要はありません。でも、無意味に苦しみ続ける必要もありません。
課題だらけの人生でも、光は必ずある
生きている限り、課題は尽きません。
でも、絶望した時こそ、本当の「助けて」が口から出てくる瞬間です。
一人で乗り越えようとしないでください。
白旗を上げることは、「負け」ではありません。
現実を受け入れて、「今ここからどうするか」と歩き出す第一歩です。
負の連鎖を止めること
どんなに嫌でも、親は「見本」になります。知らず知らずのうちに同じ言動をしてしまうことは、意識しなければ避けることができません。
「私の代で止めたい」
「自分の子には同じ苦しみを味わわせたくない」
その強い想いで、子を守ろうとする人がいます。
でも実は、それを通して“親自身”も救われていくのです。
これは簡単な道ではありません。けれど、決して「出口のない道」でもありません。
どこかに光は必ずあります。私たちは、その光を見つけるお手伝いをしていきます。

あなたの過去は、あなたの全てではありません。
でも、それを丁寧に扱い、自分で自分を救うことは、これからの未来を変える力になります。
焦らなくていい。
誰かの手を借りてもいい。
あなたの「これから」は、きっと変えられます。