怒りは「自分の中のルール」に反したときに生まれる

怒りは、多くの場合「他人が悪いことをしたから」生まれると思われがちです。でも実際には、自分の中にある“ルール”や“信念”に反することが起こったときに、怒りは強く反応します。

たとえば――

  • 自分はいつも我慢しているのに、他人が自由に振る舞っている
  • 自分は正しくやってきたのに、ずるい人が得をしている
  • 自分は一生懸命やってきたのに、認めてもらえない

そのとき心の奥ではこう思っています。

「私はこうしてきたのに、なんであの人は許されるの?」
「私が我慢してるのに、なんであの人は我慢しなくていいの?」

この「怒り」の正体は、本当は自分自身に向いているのです。
「私は本当は我慢したくなかった」「本当は甘えたかった」「認めてほしかった」――でも、それを表現できなかった自分への怒り。

怒りの奥にある感情は「悲しみ」や「寂しさ」

怒りは、実は二次感情です。
その奥には、「寂しい」「苦しい」「悔しい」「悲しい」といった一次感情があります。
でも、それを表に出すのが怖い、恥ずかしい、弱く見られるのが嫌――そんな思いから、怒りという形で出てくるのです。

だから、怒りを感じたときは問いかけてみてください:

  • 「本当は、何がつらかった?」
  • 「どんな感情を押し込めていた?」
  • 「私は何を我慢してきた?」

怒りの裏にある本音を見つけることができれば、自分との関係が変わります。

怒りが生まれた「ルール」はどこから来た?

私たちの中の「~すべき」「~してはいけない」は、多くが幼少期に親や周囲から植え付けられたものです。

  • 「女の子なんだからおしとやかにしなさい」
  • 「男の子なんだから泣くな」
  • 「そんなことしてたら嫌われるよ」

こうした言葉が、いつの間にか“自分の常識”になります。そして大人になっても、そのルールで自分や他人を縛り続けてしまうのです。

でも、そのルールは今の自分に本当に必要なもの?
誰のためのもの? 本当に守りたい価値観?

こう問い直すことで、怒りは少しずつ力を失い、やがて自分を苦しめないものへと変化していきます。

怒りは、自分を知るための「道しるべ」

怒りは、悪い感情ではありません。
むしろ、大切なものを守りたいというサインです。
自分にとって何が大切なのか、何を押し込めてきたのかを知るチャンスでもあります。

だからこそ怒りを無理に抑え込まず、「どこから来てるんだろう?」と見つめることが癒しへの第一歩なのです。